学校全体行事
今、学校では 「ムクゲの巻」
暑い夏には冷たい飲み物や食べ物が欲しくなりますが、昔から、「暑いときこそ熱い飲み物を」という言い伝えがあります。別段、我慢大会をしようというわけではないのですが、熱いお茶などを飲んだ方が、かえって涼しくなるというのです。
例えば熱い緑茶ですが、緑茶には身体を冷やす効能があり、厳しい暑さが続く今の時期にもってこいのようです。なお、緑茶の効能については、鎌倉時代の僧侶・明菴栄西(みょうあん えいさい)が『喫茶養生記』で「養生の仙薬」として「解暑」「解熱」などの効能が紹介されています。
ムクゲ全景
ムクゲの花
そんな思いを馳せたのも、バスターミナルの横に、控えめに咲く「ムクゲ」の花を見つけたためです。千利休の孫にあたる千宗旦(せんのそうたん)が「ムクゲ」を好み、花の品種に宗旦があるくらいです。また、わび茶の精神を極め、子供たちは、今に続く三千家を興したほどです(「熱男」あ~つおぉぉ~ !!)。
おまけ:公式なものではありませんが、お隣の国「大韓民国」では、「ムクゲ」を国花とされています。また、国歌「愛国歌」でも歌詞に「ムクゲ」が入っています。
今、学校では「幸せのシンボルの巻」
連日の暑さには閉口しますが、今、校庭の主役として「シロツメグサ」が白くて可愛い花を咲かせています。別名「クローバー」と呼ばれていますが、多年草で葉の数は基本3枚で、時々4枚のものがあります。これが、幸せの?「4つ葉のクローバー」です。江戸時代に「シロツメグサ」の乾燥したものをオランダからの輸入品に緩衝材として利用したところから「白詰草(シロツメグサ)」と呼ばれたようです。
校庭の「シロツメグサ」
ヨーロッパでは、そもそも「クローバー」そのものを、宗教的に神聖な植物としており、「三位一体」の教えを3枚の葉を用いて説いていたそうです。そこから3枚の葉は、Love(愛)、Hope(希望)、Faith(誠実)のシンボルとなり、それに珍しい4つ葉のクローバーのLuck(幸運)を加えて、幸せのシンボルとなったようです(蓮田に通う子供たちの幸せを祈って 七夕)。
おまけ:4つ葉のクローバーを見つける確率は、10,000分の1のようです。また、ガリガリ君の当たり棒を引く確率は、約25分の1(4%)です。アイス片手に足元をよ~く見ると見つかるかもしれません!!
〇つ葉のクローバー?
今、学校では「てふてふの巻」
梅雨の晴れ間をぬって校庭で咲く花々に誘われてか?蝶が優雅に羽を広げ宙を舞っている状態を見る機会が多くなってきました。
そんな折、中学生の多感な時期に学んだ美しい言葉と不思議なイメージを楽しむことができた素敵な作品
「てふてふが一匹 韃靼海峡(だったんかいきょう)を渡つて行つた」が脳裏を横切りました。
モンシロチョウ アゲハチョウ
この作品は安西 冬衛(あんざい ふゆえ)の『春』という短詩です。「現代かなづかい」という表記がない頃の作品ですが、これを読むと、いわゆる「旧かなづかい」独特の雰囲気が感じられます。
可憐な一匹の蝶と韃靼海峡(樺太とユーラシア大陸との間にある海峡)という北の荒涼とした海峡を対比させる詩境に圧倒されますが、言語空間の創造性と言葉の美しさを感じます。また、背景として、父の赴任先である中国の大連で関節炎のために右脚を切断するという難を蒙るなど、この一行詩には、奥深い意味と背景が読み解けます。
おまけ:「蝶」は英語で Butterfly と言いますが、「蛾」は「夜の蝶」を意味する Night Butterfly という詩的表現があります。また、M・ラヴェルの組曲「鏡」に 第1曲「蛾」がありますが、「蛾」のはばたきや振動、微妙な動きをピアノで表現し幻想的な曲となっています(ぜひ、聴いてみてください)。
今、学校では 「ナツツバキの巻」
平年より2週間余り遅い梅雨入りですが、バスターミナルと給食室に通じる教室棟の間には、今を盛りに「夏椿(ナツツバキ)」が白い花を咲かせています。
先が尖った黄緑色の葉をつけ、幹は灰褐色でなめらかな表面をして、サルスベリにとても似ています。別名「沙羅木(シャラノ木)」とも呼ばれます。実は『平家物語』の冒頭に出てくる「沙羅双樹(サラソウジュ)」の仲間です。
←夏椿の全景と白い花→
中学校の古典の授業で、一生懸命に暗記した 『平家物語』の冒頭、
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者も遂にはほろびぬ、偏ひとへに風の前の塵におなじ。」 『平家物語』第一巻「祇園精舎」より
源氏を退け、栄華を誇った平家一門の滅びゆく姿を語るこの冒頭、日本語の素晴らしささを体現している名文でもあります。当時は、「古典の意味がよくわからないまま、ただ暗記をした」一人ですが、大人になって読み返すと、ただの軍記物だけではなく、強く美しい女性の悲劇や、不思議な怪物退治のエピソードといった側面について、作品を読まなければ見えてきません。力強くも儚い平家の運命を描いた『平家物語』。新たな魅力や作品のすばらしさを改めて感じた次第です。
おまけ:「扇の的」で活躍した那須与一の話では、グローバルそしてデジタル化という大きな流れの中にある現在に、他者の尊厳を大切にする武士の精神を垣間見た感じを持ちました。
今、学校では「ツユクサの巻」
まだ梅雨入りもせず、当然のことながら梅雨明けもないにもかかわらず、日中の陽気は夏日や30℃を越える真夏日となる日もあります。しかし、校庭や高等部棟の庭には可憐な青い色の花を咲かせる「ツユクサ」を発見できました(早起きは三文の徳(得)?)。
花弁は3枚(上2枚、下1枚)
「ツユクサ」なので梅雨と関係あるのかなと思っていたものの、実は、朝露と関係があるようで、早朝に花を咲かせ、昼にはしぼんでしまう儚い花です。その美しさと儚さから、古くから魅了されてきたようです。
校庭に咲く「ツユクサ」
なお、名前の由来には複数の説があり、一つは、朝露を連想させたことから「露草」となったという説。また、青い染料として使用されていたことから「着き草」が「露草」に変化したとも言われています。また、万葉集では「月草」として登場し、詠んだ歌が9首もあります。
おまけ:今週末の21日は、夏至(げし)になります。一般的には「1年で最も昼の時間が長い日」として捉えることが多いようですが、夏至は立夏と立秋のちょうど真ん中にあたります。梅雨の最中の地域が多いのですが、「夏に至る」と書くように、この頃から夏の盛りに向かっていきます。どうぞご自愛ください。