今、学校では 「ナツツバキの巻」
平年より2週間余り遅い梅雨入りですが、バスターミナルと給食室に通じる教室棟の間には、今を盛りに「夏椿(ナツツバキ)」が白い花を咲かせています。
先が尖った黄緑色の葉をつけ、幹は灰褐色でなめらかな表面をして、サルスベリにとても似ています。別名「沙羅木(シャラノ木)」とも呼ばれます。実は『平家物語』の冒頭に出てくる「沙羅双樹(サラソウジュ)」の仲間です。
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中学校の古典の授業で、一生懸命に暗記した 『平家物語』の冒頭、
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者も遂にはほろびぬ、偏ひとへに風の前の塵におなじ。」 『平家物語』第一巻「祇園精舎」より
源氏を退け、栄華を誇った平家一門の滅びゆく姿を語るこの冒頭、日本語の素晴らしささを体現している名文でもあります。当時は、「古典の意味がよくわからないまま、ただ暗記をした」一人ですが、大人になって読み返すと、ただの軍記物だけではなく、強く美しい女性の悲劇や、不思議な怪物退治のエピソードといった側面について、作品を読まなければ見えてきません。力強くも儚い平家の運命を描いた『平家物語』。新たな魅力や作品のすばらしさを改めて感じた次第です。
おまけ:「扇の的」で活躍した那須与一の話では、グローバルそしてデジタル化という大きな流れの中にある現在に、他者の尊厳を大切にする武士の精神を垣間見た感じを持ちました。