2024年6月の記事一覧
今、学校では「てふてふの巻」
梅雨の晴れ間をぬって校庭で咲く花々に誘われてか?蝶が優雅に羽を広げ宙を舞っている状態を見る機会が多くなってきました。
そんな折、中学生の多感な時期に学んだ美しい言葉と不思議なイメージを楽しむことができた素敵な作品
「てふてふが一匹 韃靼海峡(だったんかいきょう)を渡つて行つた」が脳裏を横切りました。
モンシロチョウ アゲハチョウ
この作品は安西 冬衛(あんざい ふゆえ)の『春』という短詩です。「現代かなづかい」という表記がない頃の作品ですが、これを読むと、いわゆる「旧かなづかい」独特の雰囲気が感じられます。
可憐な一匹の蝶と韃靼海峡(樺太とユーラシア大陸との間にある海峡)という北の荒涼とした海峡を対比させる詩境に圧倒されますが、言語空間の創造性と言葉の美しさを感じます。また、背景として、父の赴任先である中国の大連で関節炎のために右脚を切断するという難を蒙るなど、この一行詩には、奥深い意味と背景が読み解けます。
おまけ:「蝶」は英語で Butterfly と言いますが、「蛾」は「夜の蝶」を意味する Night Butterfly という詩的表現があります。また、M・ラヴェルの組曲「鏡」に 第1曲「蛾」がありますが、「蛾」のはばたきや振動、微妙な動きをピアノで表現し幻想的な曲となっています(ぜひ、聴いてみてください)。